スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「朝鮮戦争の社会史」

朝鮮戦争の社会史-避難・占領・虐殺-」(2008年 平凡社)
これ、金東椿(キム・ドンチュン)教授の朝鮮戦争研究書。
韓国のハンギョレ新聞に読み応えのあるコラムを書いてはる人やのん。
生野の図書館で借りたよ。
やっぱ、朝鮮関連は充実してるねぇ。しかも、ええ本。

この本の何がすごいかというと、
朝鮮戦争を通して、「戦争被害の原因」を探っているところ。
国家、国際社会、イデオロギー、身分・家族制度、人間関係・・・。
混じり合った要素を1つずつ分析して、1つの方向につなげる。
それは、「なぜ、こんなことになったのか」を明らかにし、
「どうすれば避けられるのか」を思考する方向。
朝鮮戦争の分析やけど、どの戦争にも、現代にも通じることばかり。
感動したんで、ちゃんと覚え書きを残しとこうと思う。


★朝鮮戦争とは。

日本の支配から解放された朝鮮の、国家形成過程で起こった朝鮮戦争。
東西冷戦のスケープゴートになり、前線が朝鮮半島を行ったり来たりした。
そのため、民間人の犠牲は300万とも500万とも言われてる。
米軍も関わった民間人の大規模虐殺は、今でも詳細が明らかにされてない。
人々は、どの国家に属してるかなんて自覚もないまま、逃げまどい、理由もわからず殺された。
まるで、見つかったら殺されるかくれんぼみたい。


★金教授は、要するにこう言うてると思う。
(本が難しいから勝手に要約してまうでw)

「なぜ、こんなことになったのか」

① 国家主義。
イ・スンマンもキム・イルソンも、個人をその奴隷と見なす国家主義者。
統一国家の建国という大義をふりかざし、個人を圧殺した、というわけ。
たとえ戦争に至らなくても、国家主義による人権の軽視は今も起こってるでしょ?

② 権力欲。
イ・スンマンには、「どんな国を創るのか」というビジョンがなかった。
あるのは、ただ権力欲。
マキャベリは、残忍性を権力の一属性と見た。
「民衆には、頭をなでてやるか、頭をなくしてしまうか、
ふたつにひとつを選択しなければならない」(byマキャベリ)
興味深いのは、彼も、北のキム・イルソンも、かつての抗日活動家を弾圧したこと。
過去の統治に不満を抱いた者は、新しい統治にも不満を抱くというのが鉄則。
ビジョンなんてありゃしない。
おかげで韓国は、「アカ清掃」という空疎な目的を国家の柱にしてしまった。
国家主義には骨格がないから。

③ 大日本帝国と虐殺。
民間人に対する三光作戦(殺し尽くす・奪い尽くす・焼き尽くす)は、
日本軍がやったのと同じこと。
儒教的家父長制と男尊女卑という背景は、日本と同質性があり、
その軍規もなじみやすかったのかも。
さらに、歯車の一部として個人を軽視する思考回路は、
いったん虐殺がはじまると、互いに一族郎党への報復を繰り返させる。
そもそも、日本の支配がなければ、朝鮮戦争もなかったかも。
国家が未熟な段階での軍国主義教育が、国民性を変えた。
虐殺が起こるのは、文明化の欠如が大きな要素。
「権力の極端化ではなく、権力の不在。
イデオロギーの極端化ではなく、理念の不在」(byハンナ・アーレント)
カンボジア、サラエボ、ルワンダ…今も続いてるでしょ?

④ アメリカの軍事力誇示のカード。
米軍に、韓国民を守る気はさらさらなかった。
現に空爆による民間人の死者は、太平洋戦争中の日本を上回る。
「反共」という旗印で、中ソとの駆け引きに朝鮮半島を使っただけ。
これって、全世界で今もアメリカがやってることと同じでしょ?
「反テロ」とか何とか、名目がちょっと変わっただけで。


「どうすれば避けられるのか」

それには、国家主義を超えること!
個人が尊重される国づくりをすること!
国家という物神化された単位を超える新しい人間共同体の構築が必要。
戦争は、いつも政治の先にある。
今も、朝鮮半島の分断は、戦争を日常的な国家運営の中で反復させてる。
世界は戦争と貧困の渦中にある。
戦争は、国民・民族のためという大義名分をかざす政治権力が起こし、
貧困は、世界資本主義と国家の経済政策が助長する。
朝鮮戦争で、民衆が受けた人権じゅうりんは、
今ある野蛮や、階層差別、社会的排除と根っこが同じ。
戦争と向き合い、きちんと受けとめることが、
平和な世界をつくるために絶対に必要!



朝鮮戦争特有の事象もいっぱいある。
でも、むっちゃ普遍的な戦争研究。
戦争体験記を読んで、「ひどいな、可哀相やな」で終わりにしない。
「なんでこんなことに」という怒りを、「二度とこんなことさせない」に変える。
戦争と向き合うことの意味って、そこにあるんやなぁ。
これって、日本国憲法の精神そのものやん。

うすっぺらい国粋主義が、幅を利かせてる今、
私もしっかり向き合って、きちんと反論していきたい。
戦争の本当の姿を知るべきです。
個人の尊厳は国家を超えるんです。


スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ゆりひなな

Author:ゆりひなな
おもしろい記事書くために、おもしろい生活できたらええなぁ。その逆でもええけど。

私のおすすめ記事

●「ご存じ山田寺」みたいな。 ●橋下人形と新自由主義の大実験1~4 ●「百年目」 ●ロスジェネの迷走 

カテゴリ
最新記事
最新コメント
リンク
過去ログ +

2017年 02月 【1件】
2017年 01月 【1件】
2016年 04月 【1件】
2015年 10月 【1件】
2015年 05月 【3件】
2015年 04月 【1件】
2015年 03月 【1件】
2015年 01月 【5件】
2014年 11月 【2件】
2014年 10月 【2件】
2014年 09月 【1件】
2014年 08月 【2件】
2014年 07月 【3件】
2014年 05月 【3件】
2014年 04月 【2件】
2014年 03月 【1件】
2014年 02月 【4件】
2014年 01月 【4件】
2013年 12月 【3件】
2013年 11月 【7件】
2013年 10月 【3件】
2013年 09月 【2件】
2013年 08月 【4件】
2013年 07月 【4件】
2013年 06月 【3件】
2013年 05月 【2件】
2013年 04月 【2件】
2013年 03月 【5件】
2013年 02月 【4件】
2013年 01月 【3件】
2012年 12月 【4件】
2012年 11月 【3件】
2012年 10月 【3件】
2012年 09月 【3件】
2012年 08月 【5件】
2012年 07月 【4件】
2012年 06月 【7件】
2012年 05月 【8件】
2012年 04月 【7件】
2012年 03月 【9件】
2012年 02月 【9件】
2012年 01月 【16件】
2011年 12月 【21件】
2011年 11月 【23件】
2011年 10月 【25件】
2011年 09月 【29件】
2011年 08月 【30件】
2011年 07月 【20件】
2011年 06月 【17件】

ブックマーカーリスト
訪問者
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。